建築は、様々な環境づくりを通して人間と密接に関わり、社会を形成する重要な要素です。それ故に、豊かで生彩ある社会生活環境の創造に向けて、大きな可能性を有しています。 本学科は、芸術・学術・技術に立脚した「総合建築教育」を特色としており、「発展」から「持続」へ、「効率性」から「人間性」へという、成熟期を迎えた社会の要求や課題を的確に把握し、それらの実現や解決に対して「理論的」かつ「実践的」に対応しうるデザイナーやエンジニアの育成をめざしています。 平成21年度より既存5分野に新たに4つの教育分野を加え、より充実した教育を提供します。「建築」から「都市」まで幅広く学習できるのも本学科の特色です。
人がその場所にいて「心地いい」と感じるのは、建築物の美しさや空間の快適性だけに由来するわけではありません。例えば、室内のインテリアや窓から見える景色であったり、建築物を含む都市環境であったり、さまざまなものが影響しています。そして、どれだけ技術が進歩しても、その“心地よさの感じ方”というものは、昔から変わらなかったりします。つまり古い建築物や、さまざまな地域の環境に着目することで、「どういうものを造ればいいのか」という目的に関するヒントが見えてくるわけです。その観点から、過去やさまざまな地域について考察し、得られたものを未来の建築につなげようというのが建築史の考え方です。
有名な建築物だけが対象になるわけではありません。例えば、ある学生は町の銭湯を取り上げ、「コンビ二型銭湯」というジャンルを自ら考案し、現代の地域コミュニティの場として着目しました。このように評価基準を変え、既存のものに新しい価値を見出せるのも建築史の面白いところです。
本学がある大阪市は、生きた歴史がつまっている街です。例えば、江戸時代から船場の商人の守り神だった北御堂は今も公共の場として賑わっていますし、北浜・中之島界隈には現在も使われている明治から昭和初期に建てられたレトロな建築物があり、もちろん市内には最新の技術が用いられたビルなどもたくさん存在します。今に息づく伝統や歴史が生活圏に多数存在し、それが現代の都市と融合している全国的にも珍しい地域であり、フィールドワークでそれらを目にし、体感することが、これからの建築を考えていく上での大きなヒントになるでしょう。フィールドと文献を行き来しながら、新たな価値を発見し、位置づけていくのが建築史の醍醐味です。身近なところに“大阪の街”という生きた教室があることが本研究室の有利なところだと思います。
紹介ビデオ1:①建築学科 学科紹介 (610MB)>>
紹介ビデオ2:②建築学科学生による「建築学生の生活」 (41MB)>>
紹介ビデオ3:③建築設計演習(3回生)講評会Ⅰ「設計は思想だ!」 (189MB)>>
構造領域では、建築物の様々な構造的な振る舞いを制御するために必要な知識、技術に関する教育・研究を行っています。具体的な教育内容は、(1)建築物の構造解析技術の習得と構造計画の立案能力の開発(構造力学、構造計画)、(2)建築物の構造設計に関する基礎知識の習得と理論的背景の理解(基準荷重、荷重見積り)、(3)建築物の構造材料と施工品質管理に関する基礎知識の習得または、建築物の各種構造と建築構造材料特性に関する基礎知識の習得(建築材料、施工品質)です。
建築構造の中でも特にドームやスタジアム屋根などに代表される空間的な広がりを持つシェル空間構造の力学特性に関する研究に力を入れています。その構造特性を数値解析・実験的手法の両面から研究し、新しい建築空間を創るための構造技術の開発をめざしています。
建築物は主に地震や風による力に耐える必要があります。地震による力は建築物の硬さや重さという建築物の中身によって異なるのに対し、風による力は建築物の形、いわば外見に影響をうけます。一方建築物が破壊するのは(地震・風による力)>(建築物の耐力)となった場合であり、耐力の検討も必要です。当研究室ではこうした建築物をめぐる風による力、そして風により破損する建築物やその部材耐力を研究しています。
建築物(主に鉄筋コンクリート造や木造)の耐震性能評価及び耐震補強技術開発に関する研究を進めています。近年は、新材料を適用した新しいコンクリート系構造材料システムの開発を目指しています。また,天然資源や産業副産物を有効利用した,環境負荷低減型の建築材料及び構造部材開発に従事しています。
環境領域では、建築空間における人の快適性や省エネルギーの観点から室内外環境制御についての教育・研究を行っています。具体的な分野としては、(1)日照・照明・採光に関わる光環境分野、(2)温度やエネルギーに関わる熱環境分野、(3)騒音や遮音、音響特性に関わる音環境分野、(4)空気質や空気流動に関わる空気環境分野、(5)給排水衛生消火システムや空調・換気を取り扱う建築設備分野に分類され、建築物理の定量的評価と人間の心理・生理的評価の観点から建築を取り扱います。
高齢者の転倒事故リスクの低減にむけて、事故の環境側要因としての照明環境に関して、歩行時における視線の動きを測定しています。また、老人ホームにおける転倒事故の発生率と気象条件との関係も分析しています。
計画領域では、建築物としての物理的特性に加え、人の社会生活や歴史文化といった側面を加味した〈建築〉を計画するための教育・研究を行っています。具体的な分野としては、(1)新築のみならずストック活用や建物の組み立てまでを含む計画分野、(2)建築に関する幅広い与条件を創造的に統合するデザイン分野、(3)建築の評価と定義を更新する建築史分野からなります。本領域は、実際の設計を通した実践的なアプローチに比重を置き、実践と理論とを往還するところに特徴があります。
実在する都市をフィールドに調査・分析し、それを建築の意匠へ活かす設計手法の研究を行っています。展覧会への応募のほか、研究室に依頼された建築物の設計や、建築設計事務所のコンペのメンバーに加わるなど、実際のプロジェクトに携わる機会の多いことが特長です。
社会の需要を受けてつくられる建築物は、時代の変化に伴って、そのうちのどんな要素が重視されるかも変化します。過去の建築物と社会の関係を証拠に基づいて解明し、変わるものと変わらないものを明らかにすることに取り組んでいます。作っては壊しという状況ではない今において、未来まで使え、使い続けたいと思われるものをつくる上で重要です。
住宅ストックの再生手法としてリノベーションが普及し、各地にリノベ集積地が散見されるようになった。そのようなエリアではリノベがリノベを呼び、連鎖的ネットワークが形成されている。この現象をCo-Renovationと名付け、その仕組の解明やコミュニティ活性化への可能性を探っている。建築計画とは、以上のように、ヒト・モノ・コトの関係性から建築やまちを計画する理論を構築する研究分野です。
炭素固定化を担うサステナブルな材料である木質材料、木質構造を軸に、伝統的な技術の再評価、既存建築物の健全性診断法の提案、建築物の長期性能予測のための技術基盤整備、新しい材料を利用した新しい構法の開発などに取り組んでいます。
人・コミュニティ・地域という実体として生きている都市にフォーカスし、住民とのワークショップなどを通じて実証的に研究。都市や地域を活性化させる住民主体のまちづくりや、建築単体を超えた面的・群的な都市空間のデザインといったテーマに取り組んでいます。
計算幾何学、組合せ論などの数理に基づいた建築・都市の設計手法、空間評価手法を探求しています。情報技術によってできることを正しく理解し,建築分野における適切な開発と応用を行い、新たに可能となる建築デザインの探究に取り組んでいます。
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東京都庁、大阪市役所、独立行政法人都市再生機構、関西電力、阪神高速道路、関西エアポート、鹿島建設、大成建設、竹中工務店、NTT都市開発、東畑建築事務所、昭和設計、日本工営、建設技術研究所、高砂熱学工業 ほか