化学バイオ工学科は、化学技術やバイオテクノロジーを基に環境調和型の「ものづくり」に挑戦します。「ものづくり」を通じて、持続的な発展と地球環境保全が両立した豊かで安全な社会の構築に貢献する人材を育成します。 研究面では、化学の原理や方法に基づき、原子や分子の世界から生活に欠かせない物質や材料を創り出す分野と、複雑な生体分子や細胞機能に基づき先端バイオ技術を創造する分野が共存し融合することで、化学・生物・工学をキーワードとした新しい分野を開拓していきます。 教育面では、専門知識だけでなく、科学技術が社会に及ぼす影響について地球的規模で総合的に洞察し、自ら適切に判断できる専門技術者・研究者の養成を行うためのカリキュラムを整備しています。
バイオテクノロジー分野で重要な役割を担っている微生物の利用。すでに細胞内の多くの現象が解き明かされ、本格的な応用研究が進んでいます。なかでも当研究室では、酵母や大腸菌をモデルとして微生物の新たな可能性を探究している。遺伝子工学的手法を用いた改良によって、食品・環境・エネルギー・医薬など幅広い分野への応用をめざしています。
特に私が注目しているのは、酵母の表層構造です。古来、発酵や醸造などに利用されてきた酵母は、増殖スピードが速く、応用性が高い。その表層は頑強で、加工にも適しています。しかも酵母の表層には、免疫を活性化させる構造体があるため、例えば食品分野であれば、免疫機能を最大限に発揮できるパン酵母が作れないかと改変を進めています。さらにパン酵母の変異株には細胞自体に強い乳化作用があることを見出し、特許を出願。免疫賦活作用と乳化作用を併せ持つ成分の応用に向けて、メーカーと協働し研究を進めています。
一方、金属を吸着させる酵母細胞壁の機能を活用すれば、有害な重金属や稀少なレアメタルを回収することも可能です。研究では、多糖のリン酸化を行うことで吸着力が高まる現象を発見。実用化に向け、さらなる高機能化や低コスト化にチャレンジしています。
ほかにも酵母を活用した副作用の少ない抗真菌薬の開発や、微生物燃料電池に適した触媒微生物の開発などにも取り組んでいます。微生物燃料電池とは、微生物が糖などの有機物を代謝することで作り出される電子を、電気エネルギーとして取り出す装置のこと。大腸菌の遺伝子を改変することで、実用化に必要な出力の向上をめざしています。
現在すでに、遺伝子組換えだけでなく、酵母の染色体を人工合成する技術も確立されています。さらに研究を進めれば、思いも寄らないところにも微生物を応用できるはず。古くから活用されている細胞に対し、最新の技術を駆使することで、新しい世界を開ける…非常に面白い研究分野だと感じています。
紹介ビデオ:①化学バイオ工学科 学科紹介 (793MB)>>
環境と調和しながら永続的に発展する社会を実現するためには、持続可能エネルギーとそれに関わる物質化学の研究が不可欠です。そこで、本研究領域では、「無機化学」「物理化学」「分析化学」などの学問を基礎とする物質化学に関する基盤研究から、「電池」「ナノマテリアル」「有害物質処理」などへの展開を目指した工学的応用研究まで、取り組んでいます。
エネルギー・環境問題を解決するため、「蓄電池」・「人工光合成」・「燃料電池」をキーワードとする無機材料の研究を進めています。具体的には、金属酸化物や金属錯体といった無機材料を原子・分子・ナノサイズのレベルで構造制御し、複合化することで機能の向上に取り組んでいます。
微小部・微量分析法の開発と応用研究に取り組んでいます。最近ではX線分析技術を応用して試料の三次元元素分布の可視化に成功。この手法を環境試料、生物試料、文化財試料、鑑識資料などの精密解析に利用しています。
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原子・分子レベルで物質を設計し、機能性を有する有機分子・有機材料・高分子の合成を行い、持続可能な未来社会の実現に貢献できる新物質・新材料の創製を目指しています。特に、有機合成反応の開発、機能性高分子合成、高分子物性制御、光機能物性制御などに取り組み、光学・エレクトロニクス・創薬・医用分野などで応用が期待できる物質創製を進めています。このような物質創製を通して必要な素養を教授し研究者・技術者として将来活躍できる人材の育成を行っています。
新規な有機・高分子材料の創生やその化学反応メカニズムの解明を目指し、多成分系高分子の相溶性と結晶構造解析、フィラー分散高分子の導電性評価、感光性高分子の開発、活性種と有機化合物との化学反応性解析、遷移金属錯体の合成、金属錯体を用いた触媒反応の開発、機能性有機化合物の合成に取り組んでいます。
制御重合や高分子反応の精密制御を基盤とする分子設計を行い、従来の高分子材料では達成できないスマートマテリアルの開発を行っています。省エネルギー・省資源化に有効な解体性材料や刺激応答性材料への応用にも取り組んでいます。
次世代材料として期待される光機能性有機材料の合成とその性質を研究。光メモリ素子、表示素子、光センサー、サーモセンサー、フォトアクチュエーターなどへの応用が考えられます。さらに新しい表示素子材料、有機系の発光材料などの開発にも取り組んでいます。
化学と生物分野の境界領域での研究を促進することを目的に、本領域では化学プロセスとバイオプロセスを融合した環境調和型反応プロセスの開発を行っています。具体的には、高圧技術、反応工学、晶析技術、酵素反応などを駆使し、バイオマスリファイナリーや環境汚染物質無害化の研究に取り組んでいます。
高圧力技術を用いた環境に優しい化学プロセスの研究を行っています。亜臨界・超臨界流体を反応場とする環境汚染物質の無害化、高圧下の食品や生物物質の物性と機能の解明、光触媒によるバイオマスの化学変換などに取り組んでいます。
木質系バイオマスからのエタノール生産など、木質系バイオマスの100%利用をめざして、その成分であるリグニン、ヘミセルロース、セルロースの効率的な分離、およびそれらの有効利用について検討しています。また、医薬品・化学品の製造工程における手順とコストを削減する晶析プロセスの高度化にも取り組んでいます。
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全ての生命現象は、核酸・タンパク質・糖質をはじめとする多種多様な生命分子が織りなす化学反応により成り立っています。バイオサイエンス領域では生命現象を化学の言葉で理解し我々の生活に活用すべく、そのメカニズムの解明や有用物質の創製を進めています。具体的には、生体高分子をベースとした医用材料の創製、スフィンゴ脂質類縁体の合成及びアポトーシス誘導機構の解明、酸化還元タンパク質の構造機能相関、高機能性人工抗体の開発などの研究を行っています。
抗炎症剤・抗ガン剤およびそれらのデリバリー材料を含む医療材料の開発について研究を展開。例えば瞬時にゲル状になって出血部位を覆う新しい止血剤や皮膚疾患の炎症を抑える効果のあるショウガ由来化合物など、医療現場で役立つツールの開発に取り組んでいます。
遺伝子工学を用いたタンパク質の研究を実施。遺伝子工学を使って設計図を書き換え、ヒトにとって有効なタンパク質を作り出すという研究も行っています。これらの研究は、抗体医薬品としての抗ガン剤や病原性微生物に対する抗菌薬の開発に応用できます。
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21世紀を迎え、生命現象の理解が飛躍的に進み、これらの知見を基盤とするバイオ技術が、人類に多大な貢献をする時代を迎えています。バイオエンジニアリング領域では、多様な生物が織りなす巧みな生命現象を、工学的な観点から応用し、人類の健康、新エネルギーの開発、環境保全などに役立つ物質や技術の創出を目指します。生物化学工学、生体材料工学、細胞工学、創薬生命工学の4分野が連携し、教育と研究を実施しています。
iPS細胞などから作った組織細胞で病気を治療する「再生医療」の実現に向けた工学領域からのアプローチを行っています。また、高性能なmicroRNAやDNAでできた世界初のmicroRNA阻害剤LidNAなど「核酸医薬」の開発も行っています。
新たな機能を持った微生物の探索と酵母や大腸菌をモデルに人工的な機能性細胞の構築に取り組み、バイオ産業への展開を図るとともに、いまだ謎の多い細胞の理解を進めながら、工学領域への展開をめざします。
高性能バイオ医薬品の創製をめざし、 ゲノム編集など生命工学技術を駆使した新しいモノクローナル抗体作製技術の開発を実施。また、これまでにないユニークな抗体利用法の研究にも取り組んでいます。
環境・エネルギー問題の解決に貢献する固体触媒・光触媒の開発に取り組み、人工光合成をはじめとする環境調和型化学反応システムの構築を目指しています。優れた固体触媒の創製を目的として、各種分光法を利用した物性分析と分子レベル・ナノレベルでの材料設計も行っています。
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東洋紡、ダイキン工業、東レ、JCRファーマ、フジッコ、日本触媒、古河電気工業、住友ゴム工業、三菱ケミカル、村田製作所、住友電気工業、ナリス化粧品、阪本薬品工業、サラヤ、コーセー ほか