携帯電話や薄型ディスプレイ、ブルーレイなど、身近に電気・電子工学や応用物理学の成果を利用した製品があふれています。本学科ではこのような身近な電子・通信機器や情報家電をはじめさまざまな産業分野を支える電気・電子工学、応用物理学の基礎教育と、次世代の新しい技術パラダイムを生み出す先端科学技術の研究開発を行っています。本学科では、電気・電子工学や応用物理学の教育と研究を通じて、日進月歩の高度技術社会をリードできる高い専門性や応用能力、さらに技術者としての高い倫理観を兼ね備えた優れた人材の育成とあくなき「知」の探求によって希望ある未来をひらく科学技術の創造をめざしています。
1ナノメートルとは10億分の1メートル。原子の十倍ほどの非常に小さな単位です。物質をナノのレベルまで小さくすると、通常とは異なる性質が現れてきます。自然界ではひとつの物質が発光する色は決まっていますが、半導体ナノ粒子は、粒子の大きさによって発光する色をさまざまに変えることができます。この特性を活かして鮮明な映像を再現する量子ドットディスプレイほか、多くの分野での応用が期待されています。けれども、半導体ナノ粒子の物性は未知の部分が多く、解明が待たれています。
私たちの研究室では、この新分野の開拓にひとつ、またひとつとマイルストーンを立てていくべく、独自に半導体ナノ粒子を設計・作製して物性を調べ、新原理の解明と新機能の掘り起こしに取り組んでいます。
私たちの研究室では、自然と環境に優しい水熱合成法を採用して半導体ナノ粒子を製作しています。従来の有機溶媒中での反応を利用する技術(ホットソープ法)とは違い、環境負荷が大幅に低減されるのが特徴です。またLayer-by-layer法によって、水中に分散しているナノ粒子を基板上に1粒子層ずつ積層すること、さらにナノ粒子間の距離を1ナノメートルの精度で制御することにも成功しました。この技術は多種多様なナノ粒子に適用が可能です。
最近では、ナノ粒子を人工原子とみなして、規則的な配列構造をもつ人工結晶の作製にも成功しました。この人工結晶は、次世代エネルギー革命の起爆剤と言われる「量子ドット太陽電池」への応用が見込まれています。
「鉛から金、そして不老不死の仙丹」を追い求めた錬金術師たちの夢は、21世紀のナノ技術による人工原子の創製により、光電子・磁気、医薬・医療材料という大輪の花を咲かせようとしています。未知のモノが研究対象ですから、ねらい通りにいかなくて当たり前。あふれる好奇心と夢を科学技術にぶつけてみたい学生のみなさんをお待ちしています。
紹介ビデオ:①電子・物理工学科 学科紹介 (23MB)>>
新たな光機能性の創成を目指し、光物性工学、フォトニック工学、波動物理工学の研究を行っています。
具体的には、光物性工学・フォトニック工学では、物質中の電子の波動性(量子性)が現れるナノメータスケールの多様な半導体薄膜構造(量子井戸、超格子など)を対象として、発光機構や超高速光学応答などの光物性と光機能性を中心に先端的研究を行っています。波動物理工学では、光やテラヘルツ電磁波に関する基盤技術とテラヘルツ光学素子や新機能センシング等の工学的な応用について研究を行っています。
「半導体ナノ薄膜構造・量子構造(電子・正孔の波動性が現れる構造)の光物性と光機能性」を中心に研究しています。半導体ナノ薄膜構造を多様な物理的気相成長法により作製。それらの電子系のエネルギー状態や発光機構について先端的な研究を行い、新たな光機能性を創成する指針の開拓をめざしています。
紹介ビデオ:④光物性工学 研究室紹介 (309MB)>>
レーザー光は、身近な場所、例えばCD読み取り光源として活躍しています。これらより発展したフェムト秒パルスレーザー [パルス幅: 1~100 fs (10-15 ~10-13 秒)]があります。1fsという時間では、光は、高々ウィルス3個( 0.3 m)分の距離しか進みません。本分野では、この光を用いて先端的なテラヘルツ電磁波の発生機構を主に研究しています。
私たちの身の回りには、波や振動に関係した現象やそれを利用したものが数多くあります。我々の研究している光(レーザー)やテラヘルツ波などの電磁波や、プラズモンなどの電子の集団運動も波の性質を持つもののひとつです。それらを組み合わせた時の振る舞いや働きを理解して、光と電子の融合した新しい技術を生み出す取り組みをしています。
※クリックすると研究者紹介が表示されます。
実験と理論の両面から、新機能の実現をめざす材料・計測技術の研究を行っています。具体的には、半導体ナノ粒子の作製と光学特性の研究(ナノマテリアル工学)、結晶工学・真空工学・表面科学等に基づく基礎及び実用化研究(物性制御工学)、物質表面における吸着・脱離等の超精密測定技術の研究(応用分光計測学)、高速・高エネルギー粒子の計測技術の研究(検出器物理工学)、多様で複雑な現象の中の法則性、普遍性を探求する理論研究(数理工学)を進めています。大学発ベンチャー等産学連携も活発に行っています。
水熱合成法による半導体ナノ粒子の作製と光学特性、光機能性に関する研究を行っています。最近では、独自の技術でナノ粒子を規則的に配列させた「人工結晶」の作製にも成功しました。この人工結晶は、次世代エネルギー革命の起爆剤と言われる「量子ドット太陽電池」への応用が見込まれています。今後、フェムト秒レーザーを用いた物性計測手法を開発し、ナノスケール光機能性物質の超高速光励起ダイナミクスの解明にも取り組む予定です。
多様で複雑な現象の背後にひそむ法則性や普遍性を探求するのが数理工学です。ミクロな世界の法則を用いて金属絶縁体転移や磁性転移の研究を行うとともに、群論を使って量子もつれの状態を研究しています。また、非線形現象や非平衡現象の研究も行っています。
超高真空走査型トンネル顕微鏡(UHV-STM)を使って、硬貨などに使われる身近な材料である銅・ニッケルの合金薄膜や金属シリサイドを原子レベルで観察しています。また、プラスチック基板上に作製した、有機半導体を用いたトランジスタや透明導電膜の基礎研究をしています。
物質表面と気相の界面で起こる吸着・脱離、拡散およびイオン化等の動的過程について、単一原子レベル以下の局所領域に限定した超精密な測定を行うための新規なプローブビーム技術について研究しています。また、界面におけるイオン化過程に関与する電子のスピン状態の制御や集束イオンビームを利用した新しい表面分析手法の開拓や、集束イオンビームを用いた表面科学への応用などにも取り組んでいます。
紹介ビデオ:⑥応用分光計測学 研究室紹介 (10MB)>>
圧電性材料は、外力による変形や歪みから電気を発生させる物質です。その材料の特性から、使用できる電力が限られた環境下でも、感応素子としての応用が十分期待できます。現在、この材料を使った高速・高エネルギー粒子の計測技術に関する研究を行っています。
高効率でのエネルギーの発生・変換・応用の研究を進めています。エネルギーの発生・変換に関しては、異種材料の貼り合せ等の手法を用いて、高い変換効率を有する太陽電池や高耐圧と高動作速度を有する半導体デバイスの実現に向けた研究を行っています(パワーエレクトロニクス)。反応活性プラズマを利用して、得られたエネルギーを使った高効率での材料加工の実現を目指した研究を進めています(プラズマ工学)。
半導体デバイスはサイエンス(半導体物性)とエンジニアリング(電子工学)の境界領域です。社会的に極めて重要な半導体デバイスである高効率太陽電池の研究を進めています。また、ダイヤモンドと他の材料の貼り合わせ(直接結合)による、次世代のワイドギャップ半導体デバイスの研究を行っています。
原子や分子が電離したプラズマ状態を利用し、機能性材料の新規合成、既存材料の修飾や分解を行い、機能性向上や改質のための技術開発に取り組んでいます。また、不安定な有機半導体薄膜をプラズマ重合法で形成し、安定性向上を図る技術の開発なども行っています。
紹介ビデオ:②プラズマ工学 研究室紹介 (20MB)>>
旭化成、関西電力、京セラ、近鉄グループホールディングス、ソニー、ソフトバンク、ダイキン工業、デンソー、トヨタ自動車、パナソニック、南海電気鉄道、日立製作所、富士通、本田技研工業、三菱電機 ほか