機械工学は、環境やロボット、マテリアル、航空・宇宙、輸送、医療など、幅広い産業分野で必要とされる基盤的な学問分野で、人々の生活を豊かにする様々な技術の構築に寄与してきました。機械工学はこれまでの伝統的な基盤技術に加え、時代とともに変化する産業構造や社会の要請に応えるため、新たに創成された技術や原理を取り入れ日々進化発展を続けています。 本学科では、原子・分子レベルのナノ・ミクロなスケールから、環境・社会などのマクロスケールまで横断的にとらえた特色あるカリキュラムを提供し、様々な視点から問題を考察できる能力を持つ人材の育成をめざします。ものづくり、物理や数学、人・社会・環境に興味をもち、次世代の機械技術や先端材料の創成に挑戦したい学生、時代を切り拓く技術者を目指す意欲のある学生を求めています。
自然や天然資源を無尽蔵に利用し、公共建造物などのインフラを造っては壊すような社会のあり方は過去のものになりつつあります。今あるものを最大限有効に使いながら次世代へ継承する持続可能な社会への移行に、最先端のロボット技術が注目されています。
人間が水中に潜って生態系の調査をすれば、生物が逃げてありのままを観察することが難しいケースがあります。また、老朽化した橋やトンネルの点検を行う際には、人が行くには危険な点検箇所もあります。さらに、個人の評価レベルにばらつきが生じれば正確なデータ収集には至らなかったり、労働人口の減少に伴い人材確保が厳しいという現状もあります。こうした課題を解決するために、本学工学研究科のストックマネジメント研究センターと連携し、人に代わってモニタリングを行うロボットの開発に取り組んでいます。
現在開発中のロボットは、湖沼の生態系を観察するための小型魚ロボットFOCUS、橋梁検査ロボットBIREM、コンクリート構造物調査機HORNET です。
FOCUS は認識した魚を追跡しながらの撮影をめざし改良中です。磁性を利用したBIREMは鉄橋のどんな側面での走行も可能です。HORNET は磁性を利用できないコンクリート建造物の側面に爪を軽く接触させて空中静止することで、ドローン単体に比べて高い操縦安定性・耐風性・省電力を実現しています。
これらの移動型モニタリングロボットの開発には、機械工学・電気工学・情報工学のすべてをマスターすることが要求されます。大変ではありますが、その開発プロセスは、社会で商品づくりに取り組む際に必ず活かせます。AI やIoT のニュースが毎日のように流れ、第4 次産業革命とも呼ばれる現代はロボット好きのための時代かもしれません。ロボットで、あなたの理想の未来を描いてください。
紹介ビデオ:①機械工学科 学科紹介 (318MB)>>
環境エネルギー領域では、エネルギーの発生メカニズムやその利用効率の向上・制御などに関する教育・研究を行っています。具体的には、
(1)空調機や都市のエネルギー利用に関する環境熱工学分野
(2)熱や水蒸気を利用する生産設備や機器に関する熱プロセス工学分野
(3)表面張力が関わる流動現象や液膜の微粒化などに関する流体工学分野
の三つの分野があります。本領域の特色は、従来の化石燃料を利用した熱流体機械の開発に加えて、太陽エネルギーや水力エネルギーなどの再生可能エネルギーを利用した動力発生装置の開発などにも意欲的に取り組んでいるところです。
水の相変化を利用した熱駆動ヒートポンプの開発、エネルギー消費とヒートアイランド・地球温暖化に関する現状分析・将来予測や高効率な熱機関・冷凍空調機器を用いた設備的緩和策、ならびに太陽熱エネルギーの資源化など、持続可能な社会に求められる低環境負荷・高効率なエネルギーシステムについて研究を進めています。
食品や農産物、機械部品、化学製品などの製造や加工の際には、製品の品質向上と同時に、省エネルギー化や環境負荷の低減が求められます。そこで高温の水蒸気(過熱水蒸気)や水、空気の温度・湿度を上手く利用した、新しい加工方法の開発や製造技術の高度化に取り組んでいます。人々のQOL向上と持続可能な社会の実現のために、学際領域の新たな活動にも挑戦しています。
紹介ビデオ:⑥熱プロセス工学分野紹介 (32MB)>>
ダクト内を流れる高温流体の熱と運動量の伝わり方を解析して、流れの抵抗を増やさずに熱をダクト壁面に伝える効率的な撹拌方法を探究しています。また、界面活性剤水溶液の液膜の分裂現象に関する研究やレーザーで壁面上の液滴を自在に駆動する手法の開発などを行っています。
システムダイナミクス領域では、振動工学、制御工学、ロボット運動学、計測評価工学、知的材料工学などの専門知識に関する教育と、先進機械システムや知的材料・デバイスの設計、製作、運用、評価・診断に関する研究を行っています。現在は、社会インフラや機械システムの不具合を早期に発見する診断、構造物の安全性確保のための非破壊材料評価、環境負荷低減のためのエンジン制御、各種のロボットの開発、生体を対象とした計測・評価、磁気粘性流体を利用した新たなデバイスの開発などに取り組んでいます。
機械やインフラ構造物の状態を評価し診断する技術の研究や、福祉ロボット技術の研究を行っています。機械の評価のために、計測手法、信号処理・データ処理手法の開発を行っています。インフラの検査のために、画像処理技術の適用や橋梁検査ヘリコプタの開発を行っています。
紹介ビデオ:⑩機械力学研究紹介 (23MB)>>
材料や構造物の非破壊評価、振動の制御について研究。例えば高品質なCFRPを効率よく成形するために超音波を用いて樹脂の流動や硬化をモニタリングする手法の研究や、磁気粘性流体を利用して振動を制御する小型ダンパの開発などに取り組んでいます。
低燃費でクリーンな究極的な自動車の開発を目標として、さまざまなシステム構築や制御理論を駆使して、エンジンや変速機の最適化制御に関する研究を行っています。また、画像情報だけを用いた自動運転車両の制御開発についても取り組んでいます。
調査や点検のために、水中や橋梁下部などの人が入りこみにくい場所で活躍できる小型移動ロボットを開発研究しています。水中ロボットや空中ロボットでは、推力向上のために数値流体力学で解析しています。また、血液の流れなどの生体機能に関わる研究も行っています。
紹介ビデオ:②橋梁検査ロボット(ロボット工学研究室) (950MB)>>
マテリアルデザイン領域では、あらゆる製造分野に係わる材料の教育・研究を行っています。ナノテクノロジーによる素材、部材のナノ・ミクロ構造制御・加工、ハイブリッド複合材料の成形・インテリジェント化、モニタリング、モデリングによる疲労・変形など材料機能の解析・予知など、世界的に注目され、国内外をリードしてきた研究も多々あります。本領域では、4つの研究分野で金属材料、非鉄金属材料、複合材料について、機械材料の他、抗菌機能材料や生体材料についても研究開発に取り組んでいます。
固体結晶内で励起された電子系が示す物性や緩和する過程において発現する結晶構造の変化に関する基礎研究と共に、電子励起を利用した超精密加工・新物質創成の技術基盤の開発を推進しています。また、微生物が引き起こす材料腐食(微生物腐食)や抗菌性金属材料の開発など、微生物と材料の相互作用に関する研究も行っています。
紹介ビデオ:⑯生産加工工学分野研究紹介 (66MB)>>
分子サイズ(nm)からマクロスケール(mm)までの構造・機能を制御した革新的物性を持つ材料創製と機能評価に関する研究を行っています。先進セラミックスの微視的、巨視的構造制御、環境浄化・エネルギー、バイオ・医用・歯科材料への応用をめざした物理・化学的研究などを行っています。
紹介ビデオ:⑫反応性スパッタリング及びコーティング材料(材料物性工学) (67MB)>>
材料にセンサを埋め込んで、センシング機能を持った新しい材料の開発に関する研究を展開。軽量で強度が高い複合材料と、極めて細く容易に材料に埋め込める光ファイバセンサを一体化することで、センシング機能を持つ新しい高機能材料の開発をめざしています。
社会基盤を支える最も基本的な材料である金属材料や高分子材料が研究対象。ナノテクノロジーを用いた高強度の超微細結晶材料やナノ多層膜の開発、格子欠陥配列を電子顕微鏡で観察する技術、材料の不均一変形の評価、均質化法有限要素法解析などに取り組みます。
※クリックすると研究者紹介が表示されます。
トヨタ自動車、三菱重工業、デンソー、パナソニック、ダイキン工業、川崎重工業、本田技研工業、クボタ、ソニー、神戸製鋼所、日産自動車、ファナック、三菱電機、日本電産、東京電力ホールディングス ほか