都市固有の歴史と文化を継承・発展させつつ、環境負荷を低減し、人間活動と自然環境が調和した豊かで安全・安心な都市の実現をめざすには、グローバルな視野に立って複眼的に物事を捉えることができるプランナーとエンジニアを養成することが重要です。
都市学科では、社会の要請を的確に把握し、倫理観と責任感に基づいて主体的に行動する「環境都市づくり」のプロフェッショナル育成をめざします。
都市沿岸域の生態系について、保全や活用の姿を描いていくのが私たちの研究です。目指すは、生物の豊かな海、水質のきれいな海、人々の親しめる海の実現。そのためには、沿岸生態系がもたらす恩恵とメカニズムを知り、予測・評価する必要があります。
複雑な事象を理解する際、その事象を単純化し、本質的と思われる概念や要素を見つける思考過程を「モデル化」といいます。環境問題に取り組む際もその過程は重要です。生態系は生物・物理・化学に加え、社会・経済なども絡み合う、分野横断型の複合的なシステム。これらのコネクティビティ(相互作用)を数理で表現し、全体を俯瞰的に捉えようとするのが生態系のモデル化であり、私たちの取り組んでいるテーマです。
目指す姿を明らかにすることで、理想と現実のギャップが見えてくる。それこそが課題です。課題の背景にあるメカニズムを推定し、数理モデルで検証し、解決方法を見つけて予測・評価を行う研究を、大学内外の研究者や行政、民間企業とともに進めています。
温暖化をどう抑制していくか、水質や貧酸素をどう改善するか、水産生物をどう守るか。たとえば温暖化の抑制なら、沿岸域がCO2を、どのように、どれだけ吸収しているかの解明を試みるなど、各学生がさまざまな海域でシミュレーションしています。すべての要素を入力して数理モデルを動かすと、想定外の結果が起こって新しい発見につながることも。それも研究の醍醐味です。
もともと私は民間企業で、環境とITに関する多様な事業・研究に携わってきました。その際も、創造したモデルを、産官学間や専門家間におけるコミュニケーションのプラットホームとして活用し、そこから、新しい課題や事実が見出されてきました。今、社会に必要なものの1つ。それは本質的な問題を自ら見つけ出す能力。学生たちとも対研究者として議論を重ね、新しい問題を見つける楽しさ、次なる目指す姿を描く大切さ、を共有していきたいと思っています。
紹介ビデオ1:①都市学科 学科紹介 (1467MB)>>
紹介ビデオ2:②模擬授業「都市学実験」 (64MB)>>
都市デザイン領域では、都市を取り巻く環境や現象を理解し、都市に求められる多様な役割を総合的に捉えて都市空間を計画・デザインするための手法について教育と研究を行っています。この領域の講義や演習を通じて、機能的で美しい都市づくりのため、都市デザイン・まちづくり・交通計画・都市交通のグリーン化・空間情報解析・地理情報システムなどについて学ぶことができます。
都市のさまざまな社会基盤施設の計画とその評価に関わる研究分野です。持続可能な都市の実現に向けて、人の交通行動、都市交通システム、都市基盤施設の設計・計画・運用、安全で快適な公共空間の形成に関する研究に取り組んでいます。
実験室ではなく、都市そのものを研究対象およびフィールドに、都市の計画とデザインはどうあるべきかという問題について、人と環境との関係性を手がかりに研究を展開。人々がいきいきと暮らせる都市のあり方やその方法論を探る都市再生分野にも取り組んでいます。
環境創生領域では、都市圏の環境の現状と人間活動による環境への影響を正しく評価し、環境問題を解決するための基礎知識や工学的環境改善手法について教育・研究を行っています。この領域の講義や演習・実験を通じて、持続可能な環境都市づくりのため、省エネルギー・ヒートアイランド防止策・廃棄物リサイクル・上下水道処理・都市河川の生態系再生・海の環境改善などについて学ぶことができます。
ヒートアイランドを防止する有効な対策を幅広く研究するほか、都市の暑熱化傾向に適応して生活する適応策も考えています。緑化を図るための街路樹の整備や、道路散水、ミスト散布といった対策などがあり、その効果検証を目的とした実態調査研究も行っています。
沿岸域の生態系のしくみと機能を解き明かし、予測・評価する研究を行っています。研究では、生物学・物理学・化学の分野横断的な視点と、数理モデル化、フィールドワーク、環境データ解析など、多様な技術を活用します。生態系と、水質の健全性、生物の豊饒性、気候変動の緩和の関係性を明らかにし、都市沿岸域の目指す姿を探求します。
「ごみ・水・有害物質の循環から都市環境を考える」をコンセプトに、捨てられたごみと焼却灰からレアメタルや有用金属を回収する研究をするほか、焼却工場と下水処理場を連携させ効率的なごみ・下水処理システムを模索。また、有害な化学物質の対策も研究します。
安全防災領域では、都市における市民生活を維持し、人々が安心かつ安全に暮らすことができる都市を支える技術やマネージメント手法について教育・研究を行っています。この領域の講義や演習・実験を通じて、災害に強い都市の構築のため、インフラ施設の長寿命化・インフラの補修と補強技術・美しい橋・地震に強い橋・地盤の液状化・地下水問題・港湾の修復技術・広域複合都市災害などについて学ぶことができます。
コンクリート材料の性質「材料特性の改善」に始まり、災害に対する安全性などに応じたコンクリート構造物の作り方「設計法の開発」、そして、現在使用されているコンクリート構造物を点検・補修し、永く使い続けるための対策「維持管理のあり方」などを研究します。
環境との調和に配慮し、美しく機能的で、地震を含むあらゆる荷重に対し適切に安全で、しかも維持管理・更新もしやすい橋梁構造物の設計・建設や、その維持管理・更新に必要な技術の研究を実施。大阪市との連携にも力を入れ、市と一緒に橋梁の維持管理も行っています。
大阪地域の地盤性状の詳細を究明して、沈下量が最小限に留まることを前提とした地下水位低下可能量を求める研究を実施。同時に、地震時の砂地盤の液状化危険度を予測し、現状の液状化危険度の分布および地下水位低下による液状化対策効果も明らかにします。
津波や河川の氾濫などをはじめとする水災害に関する研究や、これらが同時に発生する場合の被害予測をはじめとする「都市複合災害」の研究に取り組んでいます。自然再生エネルギー(波力発電)や、陸域と海域を総合的に捉えた環境問題にも取り組んでいます。
東京都庁、大阪市役所、独立行政法人都市再生機構、関西電力、阪神高速道路、関西エアポート、鹿島建設、大成建設、竹中工務店、NTT都市開発、東畑建築事務所、昭和設計、日本工営、建設技術研究所、高砂熱学工業 ほか